zakra
init
早稲田大学 中東・イスラーム研究コース
Middle Eastern and Islamic Studies, Waseda University
Middle Eastern and Islamic Studies Course, Graduate School of Letters, Arts and Sciences.
早稲田大学には、これまで多くの中東・イスラーム研究者を輩出してきた歴史がありますが、中東・イスラームについての本格的な研究コースの設置や教育プログラムの実践はなされてきませんでした。その状況を打開し、高度な研究レベルと国際的発信力を備えた人材を育成すべく、2017年にこのコースが新設されました。新コースの特長と方針については、以下のように考えています。
現実社会と研究のグローバル化に充分に対応する一方で、地域研究的な手法と蓄積も有機的に結合させて研究を推進します。中東・イスラームの歴史や文化の研究を深耕し、国際発信することを活動の中核に据えていますが、同時に現代の諸課題にもしなやかに対応できる人材を育成しようと考えています。なお、日本の中東・イスラーム研究においては、歴史研究者の層が突出して厚く、最も高い国際的評価を受けてきました。そのような背景から、実際にはテクストと格闘し、厳密な姿勢で史資料を読み解いていく訓練も行います。
国際的に評価される研究を発信すべく努めます。そのため、各種の国際会議を早稲田大学で主催するほか、海外へ出て学会報告したり、海外の研究雑誌に投稿したりする機会も増やします。また、海外の研究機関との間の連携を強靭なものとし、国際的な共同研究体制を構築していきます。
海外留学については、全員が行うように強く促すとともに、それを可能にする環境の整備に努めます。学生の研究テーマ、研究対象とする時代や地域などに鑑み、中東現地か欧米の研究機関を選択して留学しますが、学術交流や短期滞在まで含めて考えると、院生は現地と欧米の双方の研究機関を利用することになりましょう。さらに、合同セミナーの開催や共同研究の実施などを通じて、海外研究機関と合同する形式での教育も行います。同時に、海外からの留学生も迎え入れます。
早稲田大学イスラーム地域研究機構(2019年3月をもって閉鎖)による研究成果と、その研究ネットワークを活用することも重要でしょう。それによって、同研究機構による成果を学内の教育体制へ定着させることも可能になります。イスラーム地域研究機構は文科省による共同利用・共同研究拠点に認定されたことで、国内外の研究拠点をネットワークで結ぶ「イスラーム地域研究」を深化させました。
欧米研究機関との学術研究交流や国際共同研究、合同教育を推進するとともに、中東現地研究機関とも学術教育交流を行います。そして、現地研究機関の所蔵する膨大な史資料や現地のフィールドを活用します。これによって、研究・教育の両面で、中東現地と欧米の研究機関、そして早稲田をトライアングルで結びつける体制を構築していきます。 なお、修了後の進路としては、主として研究者を想定していますが、とりわけ修士課程の修了後など、社会へ出て活躍する人材も出ることが考えられます。われわれはその双方に充分対応すべく、体制を整えていきます。
ゼミでは、最初に研究方法論を意識するために英語やアラビア語の研究書・論文を輪読したのち、受講生の専門に応じて、各種の史料か現代中東に関するエスノグラフィーを講読します。史料の場合は、最前線の研究レベルを意識して、シャリーア法定台帳やワクフ文書を読み、分析を加えたのちに、それを大きな枠組みの中で考察します。また、外国人ゲストによる講義や受講生による口頭発表も加えています。切磋琢磨の中で求めているのは、文献を十全に読みこなす力と、研究方法論を意識して考察を展開する力、さらにそれを口頭発表や論文作成を通じて発信してゆく力です。
主に20世紀初頭の中東の国際関係を検討しています。例えばEugene Roganによる入門的な論考“The Emergence of the Middle East into the Modern State System”を批判的に検討しながら、そこで言及されている一次史料に調査の対象を広げています。他には、参加者や教員による研究発表の機会も設けています。
15世紀エジプトの歴史家イブン・タグリービルディーが著したアラビア語の年代記『時代の出来事(Hawadith al-Duhur)』の輪読を行っています。合間にはゼミ生による研究発表(研究動向サーベイや英語の研究書の書評など)の機会も設けています。
※変更の可能性があります