コース案内
文化構想学部
文化構想学部多元文化論系中東・イスラーム文化プログラム
Middle Eastern and Islamic Cultures Program, School of Culture, Media and Society.
このプログラムでは、中東・イスラームに関する専門的な知識を深めるとともに、氾濫する情報を見極めるリテラシーを養い、この世界の現在・過去・未来について考察することを目標としています。

このプログラムでは「中東」や「イスラーム」に関連することであれば、何でも研究テーマにできます。その「中東」と「イスラーム」ですが、「中東」は地域概念であり、その中に暮らすキリスト教徒・ユダヤ教徒など、イスラーム教徒以外の社会も研究対象となります。一方、「イスラーム」は中東を超えて展開していますので、それに関連することであれば、欧米、中南米、南・東南アジア、アフリカ、東アジアや日本など、地球上すべてを研究対象とすることができます。同時に、それらの歴史・文化・社会について、国際的視座から深く掘り下げることになります。
西アジア・中東は、古代メソポタミア文明・エジプト文明の展開した地域と重なり、古代ギリシャ・ローマ文明、地中海世界とのかかわりも深いものです。また、ユダヤ教、キリスト教、イスラームなど諸宗教の揺籃の地でもあります。中世の『アラビアン・ナイト』や「十字軍」、マムルーク朝やオスマン帝国などの歴史、さらには現代の世界情勢やパレスチナ問題、そして「アラブの春」からハラール食品まで、中東やイスラームを知らずしては語れない事柄が、この世界には多く存在します。同時に、古代から重層的に紡がれた歴史が折にふれて顔を出すため、研究していてその文化に飽きることはありません。
そして何より、中東への旅行や食事、映画や文学など、その文化全般を本格的に愉しむ余裕が大切でしょう。異文化として他者を「理解」しようとするよりも、人間として本気で付き合うことの方がはるかに重要です。われわれはそのための情報提供は惜しみませんし、ゼミとしてのさまざまな実践も予定しています。
このプログラムでは国際的な自覚をもって活躍したいと思う皆さんに、イスラームや中東に関する専門的な知識を授けます。そして、ときには海外からのゲストを交えてゼミを行います。実際に、中東諸国や欧米、東南アジアなどへ留学や旅行をする学生も続出しています。とにかく、伝えたいことがあってこのプログラムを続けていますので、是非、主体的に参加してください。授業は真剣に、呑み会は楽しくやりましょう。
科目一覧
※変更の可能性があります
■講義
- アラビア語から学ぶアラブ文化1・2 (春・秋)(冨永正人)
- アラビア語中級(会話)1・2(春・秋)(スライマーン・アラーエルディーン)
- アラビア語中級(読解・作文)1・2(春・秋)(杉本悠子)
- アラビア語中級(時事アラビア語)1・2(春・秋)(冨永正人)
- アラビア語上級(会話)1・2(春・秋)(スライマーン・アラーエルディーン)
- アラビア語上級(読解)1・2(春・秋)(中野さやか)
- 中東・イスラーム文化研究(春)(大稔哲也)
- イスラーム文化世界(秋)(佐藤尚平)
- 中東・イスラーム研究入門(春)(佐藤尚平)
- 中東・イスラーム基礎研究(秋)(永島育)
- 中東・イスラーム前近代史1(春)(大塚修)
- 中東・イスラーム前近代史2(秋)(五十嵐大介)
- イラン・トルコ研究(春)(前田弘毅)
- 南・東南アジアやアフリカのムスリム社会(秋)(二宮文子)
- アラブ文化研究1・2(春・秋)(師岡 カリーマ・エルサムニー)
- 中東・イスラームの宗教と思想1(春)(菊地達也)
- 中東・イスラームの宗教と思想2(秋)(大川玲子)
- 中東の移民とイスラームの拡大(春)(高橋圭)
- 中東・イスラームの社会研究(秋)(山崎和美)
- 中東・イスラームの政治経済(春)(堀拔功二)
- 中東・イスラームの芸術と文学(秋)(小林一枝)
- 中東・イスラームのフィールドワーク(秋)(砂井紫里)
■専門演習
- 多元文化論系演習(イスラーム社会論)(秋)(モリス・ジェームズ・ハリー)
■論系ゼミ
- 中東・イスラーム文化論ゼミ (春・秋)(佐藤尚平)
ゼミ論文タイトル
■2017年度
- 被征服者から考察するレコンキスタの本質
- ホロコースト映画―イスラエルはホロコーストをどのように表象するか
- 子供、女性、下町の再考―イラン映画の三つの要素―
- ペルシャ湾の持続可能性構築に向けた地域概念の再検討と将来展望
- 現代イスラーム世界に浸透するホモフォビア―イラン同性愛者を取り巻く環境とその人権擁護活動を事例として―
- 七月革命のトランスナショナリズム―『ナイルの叛乱』における逆説的なヨーロッパ中心主義から―
- The Current Situation of Islamic Finance and Its Potential in Emerging Markets: Through IRMBS in Indonesia
- 今後日本がとるべきハラール対応について
- 古代地中海世界の変容と造形物―彫刻に見られる世界―
- イベリア半島において残存したアラビア語語源のスペイン語語彙とその要因
- アラビアンナイトを楽しむ視点―これからの日本とアラビアンナイト―
- 日本の学習指導要領の変移とその中における中東・イスラーム教育の分析
- 中世エジプトの「false money」について―アル=アーディルの逸話をもとに―
■2018年度
- 深南部国境問題から見るタイにおけるムスリム・マイノリティの歴史と現状
- ヒジャーブファッションの現在と展望
- 日本における「イスラーム金融」―今後の展望と課題―
- ベリーダンスとイスラーム―中東“ステレオタイプ”の形成とイスラーム社会における位置づけ―
- イスラム金融市場の現状と課題―本邦金融機関のマレーシア進出の可能性―
- イスラーム地域の音楽が世界に与えた影響
- 宗教教育から考えるイスラームとの向き合い方
- EU・中東のシリア難民への政策等を踏まえた日本の難民政策の課題
- タカフルマーケット分析と予測―イスラーム金融から掘り下げる―
- 現代ファッションのオリエンタリズム
- イスラーム革命からみるイランの女性スポーツの発展と課題
■2019年度
- アラブ首長国連邦における国籍保持者と外国人労働者の制度的・意識的分断について
- モバイルモスクカーに見る来日ムスリム観光客対応の可能性
- サウジアラビアの女性とエンターテインメント―2016年以降の改革による女性とエンターテインメントの関わり方の変化について―
- インドネシアジャワ島の農村部における近年の就学前教育施設への就園率増加の要因
- 「ムハンマドの風刺画」と「表現の自由」をめぐる論争の分析:2つは本当に対立しているのか?
- 日本におけるイスラムフォビアとホモフォビア
- 日本の移民と在日ムスリムの今後―欧州との比較から―
- 2019年における大学生の「イスラーム」に対する「ステレオタイプ」を分析する
- 中東地域に進出する日本のマンガ
- 〈総説〉イスラームの聖遺物崇敬の様相とそれに関するいくつかの考察
- アフガニスタン・中央アジア史再考―アフガニスタンとその周辺国の協力関係は現在どのように展開しているのか?
- イスラーム圏におけるバレエ
- 日本人のイスラーム理解を促進する切り口としての観光
- 日本に「宗教」が根付かないのはなぜか
- 日本におけるアラビアンナイト
■2020年度
- イスラーム聖者信仰の現代的機能の研究
- シリア内戦の影響によるトルコの外交方針の転換
- アメリカ社会におけるムスリムの実態―アメリカ国籍改宗者から見る西欧価値観の変遷―
- 15世紀伝記資料におけるエジプト、アズハル・モスク滞在者についての考察
- ナポレオンのエジプト遠征を描いた絵画におけるイスラーム世界
- ジャーヒリーヤ時代とイスラームの連続性の考察
- 中世アラビア科学における鉱物学についての考察―ビールーニー著Kitāb al-Jamāhir fī Ma’rifat al-Jawāhirの分析をもとに―
- 現代エジプトのコメディー映画を通して考える ヴェール着用の意味合い
- 「神との合一」をめぐる宗教と人間理解―イスラーム神秘主義とエックハルト―
- パレスチナ問題の現状と問題解決への取り組み 二国家併存案施行への課題
■2021年度
- 初期イスラームにおける邪視に関する一考察
- 日本におけるムスリマ向け美容ビジネスの現状と課題―ハラール化粧品とムスリムフレンドリー美容院―
- 「男はつらいよ」シリーズにおける車寅次郎の美学に関する考察
■2022年度
- サンティアゴ巡礼とイスラーム巡礼-信仰なきイスラーム巡礼はありえるか-
- インドネシアと日本におけるK-POP受容の比較
- 動物園動物の扱いに関する一考察-日本・イギリス・インド・オーストラリアを比較して-
- 政教分離制度と教育のかかわり-フランス・ トルコ・オランダを比較して-
- 日本現代児童文学のアラビアンナイト受容に関する一考察